学校・病院・市役所|誰も教えてくれない「子どもが動かない理由」

【あらすじ】 中2の5月から、ほとんど学校に行かなくなった娘。内申点はギリギリのライン。教育委員会、心療内科、市役所——動けるところは全部動いた。それでも、何も変わらない。
カウンセラーからの「困っていることは、何だと思いますか」その問いに、彼女は「こんなに相談機関を回っているのに子どもが変わらないことに困っています。」と告げた。
学校に相談し、心療内科に通わせ、市役所の窓口にも足を運んだ。
それでも、何も変わらない。
そんな苦しさを、今まさに抱えていないでしょうか。
「これだけ動いているのに、なぜ変わらないのだろう」多くの方が、その答えを外に探し続けています。
けれど、いくら相談先を増やしても、同じところで足踏みしてしまう。
私自身、子どもの不登校を7年以上経験し、今はカウンセラーとして同じように悩むお母さんたちと向き合っています。
その中で見えてきたのは、「動いても変わらない」ときに本当に見るべき場所は、実は別の場所にある、ということです。
この記事を読むと、これまで見えていなかった「本当に変えられる場所」がわかります。相談を重ねても堂々巡りになっているなら、「次にどこへ相談するか」ではなく「今、何に目を向けるべきか」が見えてくるはずです。
答えは、学校にも病院にも市役所にもありません。
あなたの中にある心の「前提」が変われば、そこから生まれる感情が変わり、行動が変わり、自ずと結果も変わっていきます。
相談しているのに子どもが変わらない理由
理由はシンプルで、学校の先生も、カウンセラーも、市役所の相談員も、見ているのは基本的に「行動」です。
休んでいる、昼夜逆転している、態度が変わる。
そうした行動に対して、一般的に効果があるとされる対応を案内してくれます。
でも、その子がなぜその行動を取るのかという内側の部分までは見ません。
専門家が悪いのではなく、構造的に見えにくい領域なのです。

じゃあ、専門家に相談したのは無駄だったんですか?

無駄ではありません。一人で抱え込まずに外部に頼ったこと自体が大切な行動です。
専門機関に相談してきたことは、無駄ではありません。
ただ、各相談機関でも見えにくい領域があるんです。
人が動く「原理原則」とは
子どもが動かない理由を考える前に、そもそも人はどういうときに動くのか、その原理原則から見ていきます。
人は、大きく分けて二つの理由で行動します。
「痛み」を避けるためか、「喜び」を得るためか、そのどちらかです。
虫歯が痛くて、この痛みから逃れたくて歯医者に行く。
これは「痛み」を避けるための行動です。
可愛い服を着たいと思って、ダイエットを始める。
これは「喜び」を得るための行動です。


Aさんが相談に来られたのはどちらの感情からだと思いますか?

そうですね、不快を避けたいから来ました...。
同じように、お子さんが動くときも、「痛み」を避けるために動くのか、「喜び」を求めて動くのか、どちらかに分かれます。
痛みで動くことのデメリット
「このままだと進路がなくなる」「こんな生活は嫌だ」——そうした強い危機感や恐れを使うと、爆発力はありますが、一度止まると次に動き出しにくくなります。また、痛みを感じさせる関わりを続けることで、親子関係に溝ができやすくなります。
喜びで動くことのデメリット
「これがしたい」「これが楽しい」という気持ちから動いてもらう場合、爆発力はありません。そして、必ずしも親が望む方向に動くとは限りません。
どちらが良い、悪いという話ではありません。どちらが、あなたとお子さん双方にとって負担が少ないか、という視点で見てみてください。
次からは、お子さん側とお母さん側とで切り分けて別々にできることを見ていきます。

お子さんのためにできること
和みカウンセリングでは、快感情から自発的に行動する循環を作っていきたい理念があるので、それをベースにお話しします。
お子さんにできることは、お子さんが今自然にしていることに注目します。
お子さんが興味を持っていること、楽しく取り組んでいることは何でしょうか。
お子さんの興味関心に共感したり、お子さんと話をしてお母さんも理解を深めていく。
そうするとお子さんは次第に元気になり、お子さんが抱えていた、学校にいけないことへの罪悪感、人と同じことができない無価値観、親へ迷惑をかけているといったようなネガティブな気持ちが少しづつ減っていき、脳や心に余裕が出てきます。
この余裕があることで、脳は他の情報を入れやすくなり、趣味や興味をきっかけにして、例えば就いてみたい職業を調べたり、自分の将来を考えたりしていきます。
お母さんができること
多くの場合、良かれと思って使ってしまうのが「痛み」の働きかけです。
「このままだと内申点が」「このままだと将来が」——心配だからこそ、そうした言葉で伝えたくなります。
でも、それが結果として、子どもにとっての「安心して動ける空気」を奪ってしまったり、お子さんの心や脳にある罪悪感や自己否定をより強めてしまいます。
お子さんが先生や親と話しているときに気に入らないと態度が悪くなる。
アドバイスしているのに怒り出す。
というのは、お子さん自身も自分を責めていて、心がいっぱいになっていて、そこにまた言われてしまうと、抱えきれなくなっていきます。
アドバイス=責められる
話をする=責められる
こんな風に誤変換されて、その経験を積めば積むほど、強く結びついてしまうんです。

お子さんは機嫌を悪くすることで、自分を守っているんです。

じゃあどうしたら、ちゃんと話ができて行動するようになるんでしょうか。
お子さんとちゃんと話し合いができたり、お子さん自身が自発的に行動するようになるには、「アドバイス」や「話し合い」は一旦やめます。
一旦やめる目的は、これ以上「責められる」という経験を増やさないためです。
そして、行動原理でもお話ししたように人は喜びの感情を得たいために行動するので、まずお子さんが自然としていることに興味を持って聞きます。
そうすると、お子さんは何もやっていないわけではなく、親が望むことではなかったとしても、行動していることが見えてきます。
そこでは、失敗もしたり自分で考えて「次はこうしよう」など改善したり、成長している部分もたくさん見えてきます。
それがたとえ、ゲームでも....。
スプラトゥーンというゲーム。
子どもに見せてもらったんですが、私には目まぐるしくて何が何だか分かりませんでした。
親にとっては厄介に感じるゲームでもお子さんにとっては試行錯誤があったり、成長があります。
今できていることを認めて、興味を持って接する。
そうすると、お子さんもだんだん学校を休んでいる罪悪感、自己否定の気持ちが薄れてきて、脳や心に余白ができます。
その余白があるから、将来のことにも目を向ける、考えられる余裕ができていきます。

それは、頭ではわかるんですけど、興味を持ってゲームの話を聞くのって難しいんですよね...。イライラしてしまって。

そうですよね。実は「頭ではわかっているけど、できない」これは心の仕組みが関係しているんです。
子どもが遊んでいるとイライラする心の仕組み
学校へ行かず、毎日ゲームをしている。
学校に行く気がない。
こんな状態なのに、子どもが遊んでいることに興味を持つのはわかってるけどできない。
「頭では、わかっているけどできない」それは以下の仕組みが人間には働いています。

多くの人は、⑤の思考で「子どものゲームを興味持って聞くようにしよう」と決めて、行動しようとしますができない。
それでまたいろいろな情報に触れ、⑤の思考で「こうしよう」と決めるけどできないを繰り返します。
⑥の行動を変えるためには、⑤の思考が自然に変わる必要があります。
そのためには、思考が生まれる前の④感情が変化する必要があり、その感情に大きく影響を与えているのが、③の潜在意識にある心の前提なんです。
③の潜在意識にある前提に何らかのエラーが起きているため、頭ではわかっているけど、できないという状態になります。
前提が変われば、結果も変わる
心が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。
心理学者ウィリアム・ジェームズの言葉として、広く知られている言葉です。
この「心が変われば」の部分をもう少し深く見ていくと、心が変わるというのは、誰もが持っている価値観やルール、思い込みといった「前提」が変わることを指しています。
今回お伝えしている「前提→感情→行動→結果」は、この「心が変わる」ところから先を、もう少し詳しく分解した構造になっています。
お子さんが学校に行かず遊んでいて、イライラするモヤモヤする。
そこには、
「問題と向き合わないければいけない」
「努力しなくてはいけない」
「くつろいではいけない」
というような価値観やルールがあなたの中の潜在意識にあるのかもしれません。
このような「〜しなければいけない」がゆるまっていくと、感情が変化してイライラや焦り、不安などが減っていきます。
感情が変わると、思考も変わり、そこから生まれる行動も変わります。
「動かそう」とする関わりから、「そこにいるだけで安心できる」関わりへ。
指示や説得ではなく、余白のある関わりに変わっていきます。
そして、その関わりの変化ーー表情、言葉のトーンなどが伝わり、結果にも影響していきます。
前提→感情→行動→結果、という順番で、自然に変わっていくものだからです。
ここで、こう思う方もいるかもしれません。
「前提を変えたら、本当に結果は変わるの? 証拠はあるの?」
正直にお伝えすると、変わるタイミングは、その子によってまったく違います。
すぐに変化が見える子もいれば、時間がかかる子もいます。
今日変えて明日変わる、という即効性のある話ではありません。
ただ、前提が変わることで、あなた自身が日々感じている「焦り」は、確実に変わっていきます。

じゃあ、今までの頑張りは意味がなかったのでしょうか...。

今までの頑張りがあったからこそ、ここに辿り着いていますよ。
学校に相談したことも、病院に通わせたことも、市役所に足を運んだことも、その時にできる精一杯の行動です。
それは、間違いではありません。
ただ、これ以上「もっと行動を増やさなきゃ」と自分を追い込む必要はない、というだけです。
頑張ってきた事実は、場所を変えても消えません。
次に向き合う場所が、「外の相談先」から「あなたの中の前提」に変わる。
それだけのことです。
まとめ
学校、病院、市役所。動けるところをすべて動いても変わらなかったとき、多くの方が「もっと他に方法があるはず」と、次の相談先を探し続けます。
でも、ずっと頑張っているのに結果が変わらない場合、視点を変える必要があります。
行動を頑張ってダメだった時、うまく行かない時はあなたの潜在意識にある「前提」に何があるのかを考えてみてください
これまでの頑張りを否定する必要はありません。
ただ、これから力を注ぐ先を、少しだけ変えてみる。
そのきっかけになればと思います。
FAQ(よくある質問)
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前提を変えたら、いつ子どもは変わりますか?
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お子さんによって差があり、はっきりした期間をお伝えすることはできません。すぐに変化が見える場合もあれば、時間がかかる場合もあります。
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これは「私のせい」ということですか?
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あなたのせいではありません。悪い人というのは誰もいないんです。原因を探して責任の所在を決めることが目的ではなく変えられる場所が、あなたの手の中にある、というお話です。
もし色々手を尽くしても解決しないなら
こちらを読んでみてください。


